2012年5月9日水曜日

東北大・惑星大気 - モデリング


東北大・惑星大気 - モデリング



[最近の研究活動] 太陽-惑星系結合モデリンググループ

    (研究A1) [地球] 中間圏・熱圏・電離圏ダイナミクスの計算機シミュレーション link
       藤原 均 (准教授), 寺田 香織 (PD), 三好 勉信 (九州大), 陣 英克, 品川 裕之 (NICT)
    (研究A2) [地球] EISCATレーダー・GCMを用いた極域熱圏・電離圏のエネルギー収支の研究
       藤原 均 (准教授), 野澤 悟徳 (名大STE研), 前田 佐和子 (京都女子大)
    (研究A3) [金星] 金星上層大気運動の数値モデル研究 link
       星野 直哉 (D2), 藤原 均 (准教授), 笠羽 康正 (教授)
    (研究A4) [火星] 火星からの大気散逸 link
       寺田 香織 (PD), 寺田 直樹 (准教授), 藤原 均 (准教授), 加藤雄人(助教), 笠羽 康正 (教授)
    (研究A5) [木星] 木星磁気圏・電離圏結合の数値モデル研究 link
       垰 千尋 (PD), 藤原 均 (准教授), 笠羽 康正 (教授)
詳細はこちらへ。
      

大気大循環モデルによる温度・風速全球分布。 11月5日0100UT、高度約300km [ほぼスペースシャトル飛翔高度] の等圧面上、地磁気静穏時・太陽活動極小期である。最大風速は358 m/s。

[地球] 中間圏/熱圏/電離圏の物理/化学


仮説から理論この異なる方法です。

 大気圏上端に位置する「熱圏(高度約80-800km)・電離圏領域」は、スペースシャトルが飛翔しオーロラが乱舞する宇宙との境界領域です。
様々な未解明問題が残されている熱圏・電離圏の研究を進めるために、以下の3つを主な研究テーマとしています。
 ・熱圏・電離圏数値予報システムの構築 (数値モデル開発と観測データに基づく物理・化学素過程の定式化)
 ・数値シミュレーションによる超高層大気変動の研究
 ・惑星大気への応用(現象の普遍的理解とモデリング技術の検証)

九州大学との共同研究により、地表から大気上端(高度0〜約700 km)をカバーする大気大循環モデル(General Circulation Model: GCM) の開発に世界で初めて成功し、様々な数値シミュレーションから下層大気の影響によって高度300kmの熱圏大気が変動する様子を明らかに してきました。現在、大気全域のGCMと電離圏モデルを結合したモデル開発を九州大学、情報通信研究機構との共同研究により進めています (研究A1)。 また、国際協同で北欧に設置・運営されている欧州非干渉散乱レーダー(European Incoherent Scatter radar: EISCAT)観測 データにより、北極域での電離圏・熱圏変動について調べています(名古屋大学、京都女子大学、国立極地研究所等との共同研究:研究A2)。 EISCATデータを用いた研究から、極冠熱圏領域への磁気圏起源のエネルギー流入や、 高度100km付近での水平風鉛直シアーに伴う乱流エネルギーの推定に成功しています。 詳細はこちらへ。

藤原 均 (准教授)

火星周辺での中性酸素原子の数密度の計算結果。 (a) PSW = 1.43 nPa、(b) PSW = 0.36 nPa。 [Kaneda et al., 2009]

[火星] 火星からの大気散逸シミュレーション


水は何でできている

現在の火星は地球に比べて大気が薄く、その気候は寒冷で乾燥し、生命活動には過酷な環境です。しかし、近年の衛星探査によって、かつては地球と同様分厚い大気をもつ、温暖で湿潤な惑星であったと分かってきました。何故火星に存在した大量の大気・水は失われてしまったのでしょうか?そして、結果として生命の存在しない「死の惑星」となってしまったのでしょうか?その主な原因の1つは宇宙空間への大気の流出だといわれいます。

 私はこの火星からの大気流出を、数値シミュレーションによって調べています。現在は、特に酸素の流出の太陽活動に対する依存性を明らかにしようとしています(研究A4)。

詳細はこちらへ。

寺田 香織 (PD)

中間圏-熱圏風速場の計算結果

[金星] 大気大循環モデルを用いた中間圏-熱圏風速場

 金星の中間圏・熱圏には、金星雲層のスーパーローテーション(自転速度の60倍もの高速東西風が吹く現象)と 同様に風速100m/sもの高速東西風が存在しています。 この高速東西風は、下層大気で励起された大気波動が角運動量を上層大気に輸送して駆動されると考えられています。 しかし、現在でもその詳細(どのような大気波動か?どのくらいの角運動量を輸送するのか?どの高度まで伝搬可能か?など) はわかっていません。
 私たちはこの高速東西風生成のメカニズム解明を目標に、独自に開発した大気大循環モデルを用いたシミュレーションを 行っています(研究A3)。

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星野 直哉 (D2)


草食動物口臭

太陽X線・紫外線による火星・金星電離圏でのプラズマ生成

[金星] 太陽X線・紫外線による火星・金星電離圏でのプラズマ生成

 電離圏プラズマは、太陽からのX線・紫外線により熱圏中性大気が光電離することによって生成されます。 地球電離圏を中心に、金星、火星電離圏における光電離によるプラズマ生成や、その後の電荷交換反応など、 電離圏でのプラズマ・中性粒子の衝突・化学反応の詳細について多くの研究者によって研究が進められてきました。 しかしながら、X線や短波長の紫外線(Extreme Ultraviolet: EUV)は計測が困難であり、現在用いられている太陽 放射スペクトルモデルには多くの不確定さがあります。また、多くの太陽放射スペクトルモデルでは、すべてのX 線領域をカバーしてはいません。本研究では、火星・金星電離圏でのプラズマ生成率を正確に見積もるために、 最新の太陽X線・EUVフラックスの観測値(またはフラックスモデル)を用いた数値計算を実施しています。ここでは、 従来の電離圏モデルでは考慮されていなかった波長領域の太陽放射による光電離の効果を取り入れています。 Mars Global Servyer (MGS)観測により、太陽フレア(X線による光電離)によって火星電離圏が大きく変動する様子 が明らかになりました。また、過去(何億年も昔)の太陽からは現在よりも遥かに強いX線・紫外線が放射されていた ことがわかっています。本研究での取り組みは、こういった太陽フレアに対する惑星電離圏の応答や、過去の火星・ 金星電離圏でのプラズマ生成に関する理解を深めるために極めて重要であると考えています。

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市川義則 (M1)


ハッブル宇宙望遠鏡で観測された木星極域オーロラ

[NASA WEB SITE より引用]

[木星] 電離圏・熱圏・磁気圏結合の研究

 太陽系惑星の中で最大の固有磁場を持ち、約10時間で自転する木星。その高速自転に起因する中性大気の力学エネルギーは、惑星超高層(電離圏・熱圏)領域のプラズマを介して磁気圏へ供給されます。一方、超高層領域のプラズマ・中性大気は、磁気圏の影響を強く受けます。この多圏間のつながり(エネルギー・角運動量輸送過程)は、木星オーロラと関連すると考えられ、また、中性子星などの「高エネルギー天体」に通じる奥の深い問題のひとつです。
 木星熱圏・電離圏モデル研究から、多圏間結合下のプラズマ・大気運動の特徴が得られつつあります。観測される木星オーロラ構造・大気運動との比較を通して、多圏間結合の物理過程の理解につなげることを目標に、モデル開発を進めています(研究A5)。

垰 千尋 (2009 博士論文 [現:ISAS/JAXA])

今年度の研究活動テーマ一覧



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