マギ (漫画) - Wikipedia
『マギ』は、大高忍による日本の漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)2009年27号から連載中。話数カウントは「第○夜」。
『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)から移籍してきた大高忍の、移籍後初の作品。これまでの筆者の作品とはイメージが打って変わって、正統派ファンタジーものとなっている。
登場人物の名前の一部は『千夜一夜物語』から採られている。
明確な記述はないが、作中の自然、服装、住居などや、バックステージ内での作者の発言より、舞台はユーラシア大陸・アフリカ大陸に似た架空の世界であると思われる。
1巻から10巻で累計200万部を突破している。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
[編集] 各編のあらすじ
- 迷宮(ダンジョン)編
- 第7の迷宮の周囲に広がる町、チーシャンに住む若者アリババは、御者のアルバイトをしながら迷宮を攻略し大富豪になる事を夢見ていたが、あと一歩を踏み出せずにいた。そんなある日、彼は『ジンの金属器』を探して旅をしているという、謎の少年アラジンと出会う。彼の持つ笛に潜む『ウーゴ君』の力を目の当たりにしたアリババは、アラジンに共同での迷宮攻略を持ち掛ける。
- 黄牙(こうが)編
- アリババと共に迷宮を攻略したアラジンだったが、迷宮から送り出された彼が姿を現したのは遠い異国の地に広がる草原だった。そこに暮らす騎馬民族、黄牙一族の集落に拾われた彼は、『ルフ』を見る事が出来る老婆に出会う。そして同じ頃、黄牙一族と接触を試みようとする一団があった。
- モルジアナ編
- アリババによって奴隷の身から解放された少女モルジアナは、故郷カタルゴに帰るため、ライラとサアサの所属する隊商と共に、カタルゴ行きの船が出航する沿岸の国バルバッドを目指していた。しかしバルバッドへ向かう道の途中に盗賊が居座っているために、隊商は道程の変更を余儀なくされ、バルバッドへの道は閉ざされてしまう。そこでモルジアナは単身、盗賊団を退治して本来の予定通りバルバッドへと向かうため、彼らの本拠地に乗り込むが……。
- バルバッド編
- 偶然の出来事から再会したアラジンとモルジアナは、共に旅を続けてきた隊商と別れ、それぞれの目的のため2人でバルバッドを目指す。旅の途中で彼らは商売のためにバルバッドへ向かう途上で盗賊に着るものまで奪われ困窮しているという『シン』と名乗る男に出会い、助けられた礼にと彼の宿泊するホテルへ案内される。そこで何気なくアリババの事を尋ねたアラジンは、『怪傑アリババ』と名乗る盗賊が一味を率いてバルバッドを荒らし回っているという話を聞く。
- シンドリア編
- シンドバッドの治める国、シンドリアに招かれたアラジンとアリババとモルジアナは、シンドバッドから世界を『堕転』させようとするアル・サーメンの話を聞く。来るべきアル・サーメンとの戦いに備えて修行を始め、着実に力をつけていくアラジンたち。そこに皇子の留学のために、煌帝国の一団がシンドリアへとやってくる。その第四皇子、練白龍は、かつてアラジンが命を救った女性の実弟であった。彼は、己のある重大な目的を胸に秘め、シンドリアへとやってきたのだった……。
- そんな折、アラジンたちの師匠を務める八人将から修業の成果を聞いたシンドバッドは、実戦も兼ねて、「シンドリアの近海に出現した迷宮を、アル・サーメンの勢力に発見・攻略される前に攻略してほしい」という指令を3人に下した。アラジン、アリババ、モルジアナは同行を申し出た練白龍とともに、第61の迷宮「ザガン」の攻略に向かう。
[編集] 登場人物
各人物が所持している金属器・眷属器・魔法道具及び、その能力も併記する。
どのくらいの頻度で津波が起こるのか
[編集] 主要人物
- アラジン
- 巨大なジンが宿る笛を持つ謎の少年。名前の元ネタは『アラジンと魔法のランプ』のアラジンから。10歳くらいで身長は130cm。趣味は読書。
- 他のジンが潜む金属器を探し、旅をしている。無邪気で純粋だが思慮深く、争いを好まない性格。見た目通り子供なのかが疑われるほど男性的な欲求に忠実で、「やわらかくて胸の大きい美人なお姉さん」が好み。一方モルジアナをはじめ、筋肉質で硬いお姉さんは対象には入っていない(ただし、モルジアナは友達として好き)。また、ウーゴとの別れの原因となった紅玉に対してのみ冷たい態度をとる。黄牙一族の長老ババの形見の杖を持ち歩いている。
- 『マギ』と呼ばれる存在であり、杖を媒介してルフの持つ魔力を集め攻撃に用いたり、所持している笛に宿るジン『ウーゴ』を実体化させるなどの能力を持つ。後に魔法も使えるようになる。歴史上初めて現れた4人目の『マギ』であり、『アル・サーメン』からは「ソロモンの代行者」と呼ばれるなどまだまだ多くの謎を秘めている。
- 『聖宮』(アラジンは「がんじょうな部屋」と呼んでいた)にかくまわれていたため、自分自身のことや、社会についてよく知らないことが多い。アリババや長老ババと出会いや別れを経て、徐々に自らのなすべき事や、人同士の繋がり、世界の仕組みを学んでいる。
- ジュダルとの対決の後、乱入してきた紅玉の攻撃を受け消滅したウーゴを再生させようと、魔力を使いすぎて意識を失ってしまう。自我のみを聖宮に招かれ、そこで再会したウーゴから助言を受け、彼に別れを告げた。その後、窮地に立たされるアリババたちの元へ帰還し、新たに得た力『魔法』と、ルフの意思を伝える力『ソロモンの知恵』をもって、ジュダルと銀行屋を退ける。
- 戦いの後はアリババ、モルジアナとともにシンドリアに身を寄せる。そこでアラジンの素質を見込んだヤムライハを師匠とし、魔法の修行をする。
- 謝肉宴の最中、アリババと2人きりになり、彼の決意を聞いた後、自らに課せられた正しい王を導き、世界の闇と「アル・サーメン」の手で堕転させられた「マギ」や「王」の闇を晴らすという「使命」を明かし、アリババに、将来シンドバッドのような王となるだろう、という預言を告げる。
- 魔法
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- 灼熱の双掌(ハルハール・インフィガール)
- 熱魔法。熱で作った白い巨人の両手で攻撃する。極めて単純な魔法だが、マギであるアラジンが放つ為その威力と熱量は甚大。
- 灼熱の連弾(ハルハール・ラーサス)
- たくさんの火球を操る熱魔法。ヤムライハの水魔法を参考に作り上げた、「灼熱の双掌」よりも多くの「命令式」を使う中級魔法。
- 蒸発の洗礼(シャラール・ラーキィ)
- 敵の体内の水分を熱して高温にする熱魔法と水魔法の合わせ技。
- 水鏡の蜃気楼(シャラール・サラブ)
- 水蒸気によって光を屈折させ幻影を産む水魔法。
- 魔法道具
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- 魔法のターバン
- アラジンが普段から頭に巻いているターバン。『おなかの力』を分け与えることでゆっくりと飛ぶことができる。留め具である赤い宝石が本体で、そこが無事ならば布地自体が破壊されても修復することができる。
- ウーゴ
- アラジンの持つ笛の金属器に潜むジン。聖宮の番人。巨体だが、首から上は別空間にあり、笛から出られない。詳細な能力は現時点では不明だが、実体化した上での肉弾戦を得意とし、難敵には両腕に熱魔法を込めた必殺の掌打を繰り出す。実はアラジンのジンではなく彼の魔力とは独立した存在であり、他のジンからは「あなた様」「珍しいお方」などと敬われている。非常にシャイな性格のため、ほとんどの女性には少し触れられるだけでもときめきの余りに気絶し、倒れてしまう。この弱点は慣れることで克服できるようで、モルジアナには触れても平気になった。
- ジュダルとの戦いの最中にアラジンの制御が利かなくなり、暴走する形で止めを刺そうとするものの、乱入してきた紅玉の攻撃を受け消滅してしまう。その後意識を失ったアラジンを異空間に呼び再会し、彼に助言と忠告を与え別れを告げた。
- アリババ・サルージャ
- 迷宮攻略を目指している少年。名前の元ネタは『アリババと40人の盗賊』のアリババから。17歳(シンドリア編ではもうすぐ18歳)で身長は168cm。太りやすい体質。
- ブドウ酒を運搬する荷車の運転手であったが、仕事中に多大な借金を負い、返済の望みを懸けて出会ったばかりのアラジンと共に第7の迷宮『アモン』を攻略。迷宮脱出後はアラジンと離れ離れになるが、迷宮攻略によって得た財宝のほとんどを費やして、チーシャン領主の支配下にあった奴隷解放と今後の生活の保障をし、彼らにある伝言を託して単身で故郷バルバッドへと旅立った。
- 貧民街の出身だが、母の死後に父親を名乗る国王にバルバッドの第三王子として引き取られ、将来は嫡子の補佐役となるべく、語学、剣術、経済学などをはじめ、多岐にわたり徹底した帝王学の教育を受けて育った。そのため、バルバッド地方の王宮剣術を得意としている。しかし、病床にあった国王の死と、それを招いた事件とに責任を感じて再び野に下り、現在に至る。
- バルバット編で盗賊団『霧の団』を率いて再登場。団の頭という立場から一時はアラジン達と対立するものの和解。その後はカシムと袂を分かち、シンドバッドの許で特訓し、武器化魔装を身につけた。そしてクーデターを実行したカシムたちと王宮で激突。アラジンの力でカシムとルフ同士の対話を行うことで、互いの心の内を知って和解できた。しかし、もっと早く皆に助けを求めていればカシムは死なずに済んだと後悔している。
- 戦いの後はアラジン、モルジアナとともにシンドリアへ身を寄せ、カシムを利用したアル・サーメンと戦うため、シャルルカンを師匠とし、剣術と武器化魔装の修行を行う。
- いつも、必要以上に背負わなくてもいい責任を1人で背負おうとし、誰かの為に自分のすべてを捧げて何かを成そうとする心優しき少年であり、その一面をアラジンに『王の器』として見出される。アモンからも、他人のために命をすり減らすたびに周囲の淀んだルフを心地よい流れに変えると評される。
- 体内の魔力の量は並より少し上程度とそれほど多いというわけではないため、「ジン」を多く従えることはできない。
- 後にアラジンに自らのアル・サーメンに対する考えと、彼らと戦う決意を示す。そしてアラジンから、彼の「使命」と将来シンドバッドのような王になるだろう、という預言を告げられた。
- アモン
- 第7迷宮の深部に広がる地下都市でアラジンたちと出会った、礼節と厳格より作られたジン。髭を蓄えた筋骨隆々で威圧感のある老人の姿で実体化する。炎を操る力を持つ。アリババが「ザガン」の攻略に向かうと「ワシの何が不満だというんじゃい」と言ってやる気をなくすなど見かけによらず嫉妬深い一面もあり、よく分からないギャグを口にすることもある。
- 自分の所まで辿り着いたアラジンとアリババを迷宮完全攻略者と認めた後、アリババが初めて商売の交渉で手に入れたナイフへとその身を宿す。しかし、ジュダルと黒い「ジン」との戦いの最中、金属器であるナイフの刀身を破壊された。その後、シンドバッドがかつてバルバッド先王から預かっていた王家に伝わる宝剣がアリババに託され、修行を重ねて宝剣がアリババの身に馴染んだ瞬間、その宝剣に再びその身を宿す。
- アモンの剣 (アモール・サイカ)
- 武器化魔装。高熱によってどんなものでも切り裂く防御不能の大剣。難点は大きさがアリババの身の丈に合っていないことと、消費する魔力が多いこと。
- アモンの宝剣
- 武器化魔装を自らの魔力で抑え込み、バルバッドの宝剣の形まで収束させた形。
- モルジアナ
- 狩猟民族『ファナリス』出身の、赤髪の少女。名前の元ネタは『アリババと40人の盗賊』に登場するアリババに仕える女奴隷のモルジアナから。当初は無表情、無愛想だったが、奴隷身分から解放されてからは表情が少しずつ豊かになってきている。14歳で身長は148cm。筋トレが趣味で、アドリブが苦手。
- 見た目は普通の少女だが、遠距離からでも瞬時に相手に接近し、垂直な壁さえ駆け上ることが可能な強靭な脚力に加え、落とし穴の底から漂う死臭や、見えない場所に隠れている者の体臭さえ嗅ぎ分ける、犬並みに鋭い嗅覚を備えている。脚力には劣るものの、腕力も相当なもので、アリババくらいの人間なら軽々投げ飛ばせる。咆哮で、凶暴な暗黒大陸の猛獣や迷宮生物たちを恐れ慄かせたりもしていた。気配察知にも優れているようで、シンドリアの森の中でマスルールと修行の最中であっても、彼と同じく、遠くの王宮にシンドバッドが帰還したことに気が付くほど。アモンには強い生命力の持ち主として評価されていた。しかし、体内の魔力が少ないため、眷属器で大技を使うと魔力の使い過ぎで自力で回復できないほどに衰弱 してしまう。
- 元はジャミルの奴隷で、アリババによって奴隷の身から解放された後も、幼少時より植え付けられたトラウマに夢の中などで悩まされている。
- アリババがチーシャンを発った後、恩人であるゴルタスの言葉を胸に、故郷カタルゴを目指して旅を始める。途中バルバッドに向かうライラとサアサの商隊に加わり採掘砦の盗賊団を壊滅させるが、その際にアラジンと再会し、後にバルバッドでアリババと合流する。
- 戦いの後はアラジン、アリババとともにシンドリアに身を寄せる。そこでアル・サーメンの話を聞き、故郷へ向かうよりもアラジンたちと戦うことを選び、同郷であるマスルールを師匠とし、格闘の稽古を積む。また、シンドバッドから眷属器を持つことを提案され、眷属器を使ってアラジンたちの「羽」になることを決意する。
- 炎翼鉄鎖(アモール・セルセイラ)
- アモンの眷属器。その身に馴染んだ金属として奴隷時代に身に着けていた「大切な人々の恩義の積もった誇らしい品」である足枷をシンドリアの金工職人に加工してもらい、鎖付きの腕飾りとしたもの(本来は足飾りだが、鎖が蹴りに邪魔であるため)。暗黒大陸で太陽の象徴として信仰されている「火の鳥」の模様が刻まれている。
- 長く伸ばした鎖を腕のように操って周囲の壁に突き刺し、反動を使って空中を移動することができる。さらに、敵に鎖を絡み付かせ高熱を発して焼き尽くす攻撃もできる。
[編集] チーシャン
第7迷宮の出現以降、その攻略を目指す冒険者が集まり発展したオアシス都市。
- ジャミル
- チーシャンの領主。一見すると高貴な風貌の美青年だが、実際は傲慢で歪んだ性格。王族ではないが、支配階級に育ったため一通りは剣術などの心得があるほか、奴隷の扱いを何より得意とする。ダンジョンを攻略し、いずれは自身が王位に就かんとする野心を抱いている。黒の器の素養を見せていたが、アモンには贋作であると判断されていた。迷宮の崩壊に巻き込まれ、死亡。
- ゴルタス
- ジャミルの奴隷の一人。巨体で、仮面をしている怪力の男。黄牙一族出身。過去に負った怪我のため喋ることができなかったが、最後にモルジアナに故郷に帰るように告げて、ジャミルを連れ、崩壊する迷宮の奥に姿を消す。
[編集] 黄牙一族
モンゴル風の国に住む一族。民衆は遊牧などを日々の生業として生活している騎馬民族であり、戦士は馬の機動力を活かした高い戦闘能力を持ち、また独特の剣を携えている。ババ曰く、「草原で我々から逃れられる者はいない」という。ゴルタスやドルジという名前が多い。上記の戦士だけでなく一族の人間は総じて身体的に頑丈であり、そのため女子供を中心に何度も奴隷狩りの対象にされている。 かつては最も栄えた騎馬民族で、初代大王チャガン・ハーンが築いた「大黄牙帝国」は歴史上最大の帝国だった。チャガン・ハーンは「マギ」にいざなわれ迷宮攻略をし、強大な力を得たという言い伝えがある。
- ババ
- 黄牙一族の集落で長を務める老婆。黄牙一族第155代大王の孫娘。かなりの高齢のため盲目だが、ルフを見ることで周囲の状況は把握できる。村民からはババ様と慕われている。本名はチャガン・シャマン。呂斉の策略により暗殺されるが、最期に自分の命を懸けて一族の暴走を止めた。形見の杖は現在アラジンが使用している。
- ドルジ
- 黄牙一族の戦士。山裾に倒れていたアラジンを保護した。トーヤに好意を寄せる。
- トーヤ
- 平和を望む黄牙一族の少女。ババの孫。ドルジの幼馴染。奴隷狩りの被害にあったが、ドルジによって救出される。
[編集] 煌帝国
帝政時代の中国風の国。少し前までは極東の小国にすぎなかったが、ジュダルの力を借り、数年で広大な中原を平定。数々の周辺小国に迷宮の攻略者を送り込み、侵略している。最近では迷宮怪物軍団もできた。
岩タイプのものは、地下水を含む
- 練白瑛(れん はくえい)
- 煌帝国、前(初代)皇帝の第三子、第一皇女。迷宮攻略者。21歳、身長169㎝。
- 西征軍の将軍であるが、その平和主義的な考えから一部の部下からは信頼が得られず軽く見られており、自身も将軍という立場と平和への望みの板挟みに苦しんでいる。一方で迷宮攻略者としての胆力と精神力、高い戦闘力を持つ。アラジンからは、「痛いくらいにまっすぐ」なルフをしているといわれる。
- 白龍に自分で何でもできるようにと料理等も仕込んだ、母親代わりのような存在である(しかし、自分は料理が苦手)。馬術が得意で、趣味は裁縫。
- パイモン
- 白瑛を『王の器』と認め契約したジン。風を操る力を持ち、白瑛の所持する羽扇に宿っている。混沌と狂愛の精霊。非常にナイスバディな女性の姿で実体化する。
- 李青舜(り せいしゅん)
- 白瑛の付き人であり、古い友人。白瑛とともにダンジョンを攻略した。双剣術を得意とし、眷属器『双月剣』を扱う。17歳、身長158㎝。詩吟が趣味で、虫が苦手。
- 白龍とも仲が良く、共に武術の稽古を行うこともある。白龍に身長を越されたことを気にしている。
- 練白龍(れん はくりゅう)
- 白瑛の実弟で同じく前皇帝の皇子だが、現在は皇帝の第四皇子という立場で、シンドバッドの前では現皇帝を義父と呼ぶ。顔の半分を傷痕でおおわれている。姉の白瑛からは自分で何でもできるように仕込まれたため、料理が得意。そんな母親代わりである白瑛のことを、ただ1人の大切な姉弟として大切に思っている。16歳、身長165㎝。
- 性格は至ってまじめだが、小さなことでも思い悩んでしまうため、アリババからは「まじめすぎて意外とめんどくさい」と言われる。特技は槍術で青龍偃月刀のような槍を扱う。。冗談が弱点。
- 煌帝国の留学生としてシンドリアへとやってくる。シンドバッドとの会談を強く望んでいた最中、アラジンとアリババの2人とも出会い、姉の命を救ったアラジンに感謝の意を示す。シンドバッドにのみ真の目的である「煌帝国を滅ぼす」という狙いを告げるが、彼からは世界を学ぶように諭され、アラジンたちと共に行動するように命じられた。後に、迷宮攻略の指令が下ったアラジンたちに同行を申し出て、ともに第61の迷宮「ザガン」攻略へと向かう。
- 当初は、自分の責任を果たすために自分一人の力で迷宮攻略をやり遂げようとして自らの力不足に悩んでおり、その姿は『霧の団』時代のアリババに酷似していた。また、自国が占領下にあっても不甲斐なさを感じているように見えないバルバッド王族たちに不審感を抱いていた。しかし、無力感から一向に当たってしまった時、アリババの涙ながらの説得を受け和解し、彼への軽薄でいい加減だという評価を改めた。
- 魔力操作の一種である「気」を使うことができる。
- 第61迷宮を攻略し、ザガンに選ばれ契約する。
- 迷宮攻略後、体内に入り込んでいたイスナーンの復活に伴い、左腕を肘の先から失ったため、以降は木製の義手をつけている。
- ザガン
- 第61迷宮の主である、忠節と清浄のジン。若者の姿で実体化する。大地と生命を司る力を持つ。
- 迷宮攻略者の中で最も魔力の量が多く、自分の能力と相性のいい「魔力操作能力」を持つ白龍と契約し、白龍の槍に宿る。
- 自分可愛さに簡単に人を裏切る面を持つ人間を嫌っているため、マギ以外の人間にはとことん冷淡な態度をとる。だが、白龍にそういった一面がなく、姉と同様に痛いほどまっすぐなルフを持っていることも彼と契約した理由の一つである。また、アモンとも仲が悪い。
- 練紅玉(れん こうぎょく)
- 煌帝国、皇帝の第八皇女。迷宮攻略者。「ジンの金属器」使いであり、魔装も習得している。アブマドと政略結婚するためにバルバッドにやってきた際、シンドバッドに一目惚れした。担当から「老け顔」と言われているため、ジュダルからは「ババア」と呼ばれているが、実年齢は17歳。身長163㎝。
- 地位は高くないため、政治的決定権は強くない。武人として生きようと思っていた(特技は剣術)だけあってかなり勝気で誇り高い性格だが、その実、仲間思いであり、年相応の女性らしさや、色恋沙汰に直面するとすぐに赤面したり泣きだしたりしてしまう純情さ持つ。また、皇族育ちとして性的に下世話な話題などには疎い[1]。そうした面もあってかお付きの官女や配下の兵士からは慕われており、夏黄文の計略の片棒を担いでいた兵士も、彼をあっさり裏切っていた。趣味はおしゃれ。友達が欲しいと思っているが、友達作りが苦手。
- 煌帝国来訪中のシンドバッドに辱められたと思い、その真偽を確かめるため、白龍とともにシンドリアを訪れる。その後、無実が明らかになった後はシンドバッドに素直に謝罪し、そのままシンドリアに逗留する。
- ヴィネア
- 紅玉と契約したジン。水を操る力を持ち、紅玉の髪飾りに宿っている。悲哀と隔絶の精霊。
- 夏黄文(か こうぶん)
- 紅玉の付き人で、彼女が幼い頃から仕えてきた。煌国北軒州の寒村に生まれ、「科選」試験を優秀な成績で突破し、官吏として登用される。紅玉とともにダンジョンを攻略した。紅玉を煌帝国西域進出の道具として策謀しているが、一方で紅玉の望みを叶えられないことを心苦しく思っている。眼鏡のような刺青があるため、ジュダルからは「メガネ」と呼ばれる。25歳、身長183㎝。
- 特技は人心掌握(自称)。紅玉の子の後見人となり国権を掌握するのが目的だったが、バルバッドでは王政の廃止、シンドリアではヤムライハの魔法と紅玉を哀れに思った部下の裏切りにより頓挫する。紅玉のわがままに弱い。
- ヴィネアの眷属器の所有者でもあり、それを使用して重傷を負ったジュダルに応急処置を施した。
- 練紅炎(れん こうえん)
- 煌帝国で比類なき最強の将軍である皇帝の第一皇子で、『炎帝』とも呼ばれている。三つの金属器を所持しており、シンドバッドに次ぐ『複数迷宮攻略者』となる。その性格は白龍曰く野心家。西征総督としてバルバッドに派遣され、そこから一気に西方侵略を果たそうとしている。
- 練紅明(れん こうめい)
- 第二皇子。迷宮攻略者。陰気な顔をしている。
- 練紅覇(れん こうは)
- 第三王子。迷宮攻略者。
- 李青龍(り せいりゅう)
- 帝国の右将軍。長い髭を蓄えた眼帯の男。
- 周黒彪(しゅう こくひょう)
- 帝国の左将軍。
- ジュダル
- 煌帝国の神官で、『マギ』。18歳、身長173㎝。
- 自らが出現させた迷宮を勝手に攻略していたシンドバッドとは顔見知り。戦争が好きで、将軍たちに力を与える為に迷宮攻略を斡旋しており、結果として煌帝国は中原を制覇した。堕転し黒く染まったマギなので、黒いルフによって力を増す。その背後には、アル・サーメンの存在がある。様々な魔法を使い、複数の魔法を同時に使うこともできる。空中散歩が趣味で、野菜が苦手。
- バルバッドにやってきて、『霧の団』のアジトを襲撃しアラジンと交戦、圧倒的な魔法の力を見せつけるが、ウーゴに敗れ全身の骨を折る重傷を負う。その後、ウーゴが彼の自我だけを『聖宮』に連れ帰ろうとするも、マルッキオによって妨害される。夏黄文の眷属器の治療を受け回復し、王宮に現れ黒い「ジン」と化したカシムを魔力で押さえつけて操り、アリババと戦う。そして駆けつけてきたアラジンの『ソロモンの知恵』によって不利な形勢に持ち込まれ、さらに黒ルフの供給がなくなったことで力を失い、「銀行屋」によって回収される。
- とある小さな東の村に生まれたが、その直後にアル・サーメンによって両親を殺され連れ去られてしまったという過去を持つが、アル・サーメンに対して恨みの感情を抱いているわけではない。
- 闇の眷属器使いたちがアラジンたちを襲撃したころ、シンドリアに現れ、宣戦布告をする。
- 魔法
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- 降り注ぐ氷槍(サルグ・アルサーロス)
- 氷魔法。ジュダルの一番得意な魔法。氷の槍で攻撃し、刺さったところから凍っていく。
- 「銀行屋」
- 煌帝国の財政顧問をしている。マルッキオとは別人である。
- 呂斎(りょさい)
- 煌帝国の千人長。白瑛を将軍の器ではないと思っており、裏で独自に奴隷狩りを行っていた。西征部隊の将軍になりたかったが、白瑛がその任を受けたため、策略によって黄牙一族の手で白瑛を打ち取らせようとするが失敗。その後、自ら白瑛を討とうとしたが、アラジンによって阻止され、逆臣として捕らえられる。
- 閻体(えんたい)
- 紅玉の「結納品」の一人。普段は人の姿だが、煌帝国の技術によって象のような姿に変身できる。マスルールと互角の力を持ち、アリババを圧倒するが、「武器化魔装」を完成させたアリババのアモンの剣に敗れる。
- 閻心(えんしん)
- 紅玉の「結納品」の一人。分裂・再生能力を持つ猿のような迷宮生物のボス。集団戦闘とスピードの早い戦闘を得意とするが、本気を出したモルジアナのスピードの前に敗れる。
- 閻技(えんぎ)
- 紅玉の「結納品」の一人。人の姿から、豹のような姿に変身する。剣術が得意。アモンの剣の前に敗れる。
[編集] バルバッド
数百に及ぶ島々を支配し、各地方との交易の中心地として栄える海洋都市国家。アリババによる革命ののち、煌帝国の傘下で、共和国として自治を行っている。サンデー掲載時は「バルバット」だったが、単行本掲載時より現名称に変更された。
[編集] 王宮
- アブマド・サルージャ
- バルバッドの第23代国王。アリババの長兄だが、彼が王宮にいた頃は汚いものを見るように酷く避けており、現在に至っても弟だとは思っていない。
- 先王の死後バルバッドを治めるが、評判は良くなく、能力も低い。煌帝国から軍事力により貿易に圧力をかけられ国力が弱まり、さらにマルッキオの言いなりになり煌帝国の通貨「煌(ファン)」を大量に借り、結果、担保として海洋権・制空権・国土の利権・通商権を差し押さえられ、ついには王である自分さえいれば国は成り立つという考えから人民を担保にする「国民奴隷化計画」を打ち出し、国を崩壊させかねない事態を招いたため、王座を降ろされた。
- 肥満した体形で、周囲の人間からは「豚」と呼ばれることがある。
- 退位後、トランの民の島でシンドリアの考古学調査団として仕事をしている。いろいろと考えるきっかけがあり、自分ができることの中で、トラン文化の研究が最良のことだと思い定めている。
- サブマド・サルージャ
- バルバッドの副王。アブマドの弟でアリババの次兄。アリババが王宮に来たばかりの頃はアブマドの影に隠れて避けていたが、数年経つうちに彼の能力を認め、普通に接するようになった。
- 人前に出ることを極度に恐れて滅多に姿を現さず、政治にも全く関わっていなかったが、アブマドの計画を知らせるために霧の団のアジトへ部下とともに赴く。その際に将軍であるバルカークも同行していたことから、アブマドより人望がある模様。アリババが単身で王宮に乗り込んだ際には、勇気を振り絞り兄の横暴を止めた。
- 革命後、兄と共にトランの民の島でシンドリアの考古学調査団として仕事をしている。人前で話すことを以前より恐れなくなっており、トランの村の村長の通訳も務める。
- バルカーク
- バルバッド国軍の右将軍であり、アリババが王宮にいた頃に剣術を教えた師範。サブマドに同伴し、霧の団のアジトへ赴く。バルバット先王に忠実だった。アリババを「若」と呼ぶ。
- マルッキオ
- 詳細はマルッキオの項を参照。
[編集] 霧の団
国軍や貴族の屋敷を襲撃し、金や食糧を奪いスラムの住民に分け与える義賊。アリババがバルバッドへ帰還する前からカシムを筆頭に暗躍しており、王族であるアリババを頭に据えている間も実質的にはカシムが支配していた。メンバーの多くが、パタのような武器を使う。
最後の3年間で米航空宇宙局(NASA)が行ったミッション
- カシム
- 「霧の団」の幹部だが、実質的にはリーダー。魔法武器「黒縛霧刀」を使う。スラム街でアリババとともに兄弟のように過ごした。名前は「アリババと40人の盗賊」のアリババの兄カシムから。
- 酒に溺れて我が子に暴力を振るう父を持つ自身と、国王を父に持ち優しい母に育てられたアリババとを比べて劣等感を抱き続け、更にアリババが去った後に行われたスラムの住人達の隔離政策の末に、流行病で妹のマリアムを亡くして絶望に陥り、更に何の手も差し伸べなかった王宮への憎しみを強めることになり、その感情をアル・サーメンに利用され、黒い「ジン」となる。
- 王族を恨んでいるため、理性を失った「ジン」となってからも王族や王政にかかわった者を殺そうと執拗に狙う。ジュダルの力によって支配され、アリババの「アモンの剣」を折る。最期は、アラジンの「ソロモンの知恵」の力によって「ジン」の内部に入ったアリババによって魂は救われたが、「ジン」の消滅に伴って死亡した。
- 死後も、ルフの一部がアリババの内に残っており、アリババがイスナーンから呪いを受けた時はその浸食を食い止めていた。なお、形見のピアスは現在もアリババが身につけている。
- 黒縛霧刀(コクバクムトウ)
- 魔法武器で、『闇の眷属器』の一つ。刀身から鉛の重さの黒い霧を出し、その霧で相手を捕縛する、巨大な球を作り押しつぶすといった攻撃をする。本来の力は、「黒い器」の持ち主が自らの体をそれで貫くことで、眷属が集まり核として黒い「ジン」が誕生するというものである。「ジン」の状態では、重力魔法や魔力を込めた重力刀を使う。
- ザイナブ
- 「霧の団」の幹部。女性。魔法武器「赤幻霧刀」を扱う。ハッサンと付き合っており、よくケンカする。
- 赤幻霧刀(セキゲンムトウ)
- 魔法武器。刀身から赤い霧を出し、それを吸い込んだ人間の期待や不安をあおり、その幻を見せる。心を強く冷静に保つ者には効果がない。カシムが「ジン」になった時、彼に吸収された。
- ハッサン
- 「霧の団」の幹部。魔法武器「黄侵霧刀」を扱う。左目に眼帯をしている。ザイナブと付き合っており、よくケンカする。
- 黄侵霧刀(オウショウムトウ)
- 魔法武器。傷をつけたものを黄色い酸の霧で,どんなものでも溶かす。建物への侵入などの時にも使われる。カシムが「ジン」になった時、彼に吸収された。
- S・ナンド(エス・ナンド)
- ナンド三兄弟の長男。採掘砦の盗賊団元頭領。眼帯で左目を隠した小柄なオヤジ。アラジンとモルジアナの活躍で盗賊団が壊滅したため、霧の団に入団した。泥酔したシンドバッドから盗賊団復活の資金として金属器をすべて盗んだが、その男気に惚れ、バルバッドでの最終決戦ですべての金属器を返却した。
- L・ナンド(エル・ナンド)
- ナンド三兄弟の二男。辮髪の巨漢。「さん」付されていたことから盗賊団の中でも一目置かれる存在だったが、モルジアナの足技の前に敗れた。
- M・ナンド(エム・ナンド)
- ナンド三兄弟の三男。優男。
[編集] シンドリア王国
南海の島国で「未開」と呼ばれる極南地帯にある。かつて、人を寄せつけない絶海の孤島をシンドバッドが開拓し、国を興した。「迷宮攻略伝説」の末に作り上げられた「夢の都」として広く知れ渡っている。北大陸には見られない地形、気候、動植物と共に人々は暮らし、国は貿易と観光で栄えている。身につけている服や装飾品、髪や肌の色も異なった人々が対立も無く、支えあって暮らしている多民族国家であり、アラジンは小さい島だが大きな国だと称している。
また、国の海域には「南海生物」と呼ばれる超巨大な海獣が生息しており、年に数度、島を襲ってくるが、王の配下の「八人将」によって撃退し、それをパフォーマンス化して国民の不安を緩和している。仕留めた南海生物は国中で食べ、その収穫祭を「謝肉宴(マハラガーン)」という。
- シンドバッド
- シンドリアの国王で、七海連合の長。14歳の時に第1迷宮「バアル」を攻略。以来、七つの海と迷宮を制覇し、七人の「ジン」の主となった『伝説の迷宮攻略者』。それと同時に現在世界で2人しかいない複数の金属器を所有する者でもある。通称『七海の覇王』。愛称はシン。名前は『船乗りシンドバードの物語』より。29歳で、八人将の若者と酒を飲んでいるとおじさん呼ばわりされることを気にしている。身長183㎝。
- バルバッドの前国王とは親交があり、貿易業を教わったり宝剣を授かっていた。船舶貿易の再開についての交渉のためにバルバッドへ赴き、その途中でアラジン達と出会う。
- 名君として、八人将をはじめ臣下には心から尊敬されているが、酒癖が悪く失態を犯すことが多いため(酔いつぶれて寝ているときに金属器をすべて盗まれるなど)、その点においては、幾度となく騒動に巻き込まれ、失態に付き合わされてきた八人将からは全く信用されていない。女性に絶大な人気を誇り、旅先でもたくさんの現地妻を持つ程女遊びは好きだが、国の為に私心を砕いており、また生涯結婚をするつもりはないと決めている。
- 七人の「ジン」を従えていることからも伺えるように、超人的な魔力を秘めている。さらに、金属器の力とは別に、自分の魔力を操作し、他者の魔力攻撃を相殺して無効化する「魔力操作」も身につけている(これは修行によって得たもの)。また、実はすでに半分「堕転」しているため、黒ルフによる呪いの効果もない。
- 所持する七つの金属器の内一つの大魔法攻撃として、落雷を取り込んで放つ『雷光剣(バララークサイカ)』がある。
- シンドリア建国以前から、アル・サーメンと戦ってきた人物で、彼らにとっての警戒対象。同時にシンドバッドもアル・サーメンを警戒し続けており、「世界の異変」に気づいていた。アル・サーメンからは、『第一級特異点』と呼ばれる。
- フォカロル
- 支配と服従の精霊。シンドバッドが右腕につけている腕輪に宿る。全身魔装では羽衣をまとった姿となる。
- 風裂斬(フォラーズゾーラ)
- 極大魔法。両手から生み出した巨大な竜巻を相手にぶつける。岩山を丸ごと削り取るほどの威力を持つ。
- ジャーファル
- 八人将の一人。特殊な暗殺術の名手であり、眷属器『双蛇鏢(バララーク・セイ)』を使う。シンドリアでは主に政務を担当する。25歳、身長172㎝。
- 元暗殺者。出会った当初はシンドバッドを差し向けられた刺客であった。しかし今ではシンドバッドに対し高い忠誠心を持ち、彼を侮辱した人間には我を忘れて殺意を向けるほど。だが、一方でシンドバッドの奔放ともいえる行動に頭を抱えたり、時には卒倒しそうになったりと気苦労が絶えない。
- 仕事が趣味で、普段から官服を着ているため、私服は14歳の時にシンドバッドからもらった1着(もう小さくて着られない)だけしか持っていない[1]。怒りっぽいところがある。
- マスルール
- 八人将の一人。20歳、身長195㎝。
- 普段からあまり話さず、無表情かつ無愛想。モルジアナと同じくファナリスの出で、小さい頃はレーム大陸で流行っている格闘競技の戦士である剣闘士をしていた。よく先輩であるシャルルカンに絡まれる。しかし尊敬するシンドバッドの言うことしか聞かない。私室を与えられているが、頻繁にそこから抜け出す[1]。趣味は昼寝。子供が弱点。
- モルジアナの武術の師匠として、彼女の指導を行っている。
- 金剛鎧甲(バララーク・カウーザ)
- 眷属器。電流によって筋収縮のリミッターを外す。ファナリスとしての力を最大限発揮することができるが、筋肉への負担が大きく、使用後には動くこともままならない。よって使用はその発動が必要とされるとき、またはマスルールが激情に駆られた時のみである。
- ヤムライハ
- 八人将の一人で、天才魔導士。主に水の魔法を使用する。23歳、身長158㎝。
- アラジンのシンドリア滞在以降、彼の魔法の師匠となる。アラジンからは「ヤムおねえさん」と呼ばれている。魔法には強い思い入れとプライドがあり、剣士であるシャルルカンとはしょっちゅう喧嘩をする。意中の相手の前では魔法の話しか出来ない程緊張してしまうため、ピスティからは「魔法使いの男の人と付き合えばいい」と提案されていた[1]。魔法アイテム収集が趣味で、寝起きに弱い。マグノシュタット出身。
- かつてはマグノシュタット学園創始以来の天才といわれていたが、10年前の反乱の際シンドバッドらが手を尽くしシンドリアで保護された。また、世界で唯一の魔力蓄蔵装置や、シンドリア上空を覆う『防御結界』と『転送魔法陣』を発明している。
- 魔法
-
- 隠者の水膜(シャラール・マグド)
- 水蒸気による光の屈折を操り、他者の視界から姿を消す魔法。「水を集める」「水蒸気に変換する」「光の屈折を操作する」という3つの命令式をルフに与えることで使うことができる。
- 真実の水人形劇(シャラール・ラケーサ)
- 血を混ぜ込んだ水に魔法をかけ、あらかじめ作っておいた建物の模型の中で、ルフに語りかけ見えないものや離れた場所や昔のことを教えてもらう『透視魔法』の一種。
- シャルルカン
- 八人将の一人。シンドバッドが煌帝国に滞在した際、共に付いて行った人物の一人。21歳、身長180㎝。エリオハプト出身。
- 凄まじい剣術の腕前の持ち主で、アリババのシンドリア滞在以降、彼の新たな剣術の師匠となり彼を厳しく指導する。目立ちたがり屋。勤務外は仕事をしない性格でよく飲みに行く。楽観的な性格だが剣術の修行になると激烈な性格に変わる。先輩(年上)が苦手。剣術には並々ならぬ思い入れがあり、ヤムライハと良く衝突している。幼い頃にはかっこいいところを見せたいあまり、好きな女の子を剣の鍛錬場へ連れて行く癖があった。
- 体内の魔力の量が少ないため、1日数分しか眷属器を発動できない。
- 流閃剣(フォラーズ・サイカ)
- 眷属器。一度はなった斬撃を数秒間空間にとどめる。またその軌道をコントロールすることができ、鞭状の長くしなる剣である。
- ピスティ
- 八人将の一人。笛を吹いて動物(主に鳥)とルフの波長を合わせて、懐柔する力を持つ。身長140㎝と小柄で幼児体型だが、アリババより年上の18歳。歌が趣味。
- その容姿からか、セクシーな女性への複雑な感情がある様子で、胸の大きさと意義についてモルジアナに語っていた。実は王宮内には多くの恋人がおり、手玉に取っている状態のオオカミ少女(嘘つきの意)で、宮中で問題の種となっている。一方で、女友達はヤムライハのみである。嘘泣きが得意だが、ジャーファルにはもう通用しない[1]。アラジンたちが第61の迷宮「ザガン」に行くとき、途中まで同行している。アルテミュラ出身。
- スパルトス
- 八人将の一人。シンドバッドが煌帝国に滞在した際、共に付いて行った人物の一人。真面目な性格。22歳、身長179㎝。
- 槍術を得意とする。祖国の教義の関係で、人付き合いの幅が狭くなりがちで、家族と許嫁以外の女性意外と目を合わせるべきではないとされている[1]ため、女性が苦手。趣味はお祈り。ササン出身。
- ドラコーン
- 八人将の一人。パルテビア帝国の元軍人で、軍務が特技。29歳、身長226㎝。趣味は部下の教育。
- 元々は普通の人間だったが、今は竜のような姿をしている。シンドバット曰く誠実な男。美人の妻がおり、彼女が弱点でもある。
- ヒナホホ
- 八人将の一人。極北の秘境・イムチャックの戦士で見上げるほどの巨漢(身長240㎝)。35歳。
- 妻子持ちで、子供の世話が趣味。狩りが得意。出身地の関係からか、暑さに弱い。
[編集] マグノシュタット
元はムスタシム王国にあった一学問機関だったが、10年前に軍隊級の力を持ち国軍や一部の貴族官僚を取り込み、祖国に対して反乱を起こすことで誕生した国家。魔法使い以外の人間の入国を原則として禁じており、「魔導士」と普通の人間を差別するという国家体制を敷いている。また、アル・サーメンともつながりがあるという疑惑が持たれている。
- マタル・モガメット
- マグノシュタットの王。元マグノシュタット校学長。ムスタシム王家が所持していた魔法の全権利の引き渡しを求め、国民を先導して反乱を引き起こさせた。
[編集] アル・サーメン
「世界の異変」を起こしている「八芳星」の名を持つ組織。時に貿易商、政治顧問、官女など様々な姿で国々の中枢に入り込み、影から歴史を操ろうとしている。一味の者が共通した一つの組織名を名乗ることはなく、組織の名はシンドバッドらによって仮に名付けられたもの。
「計画書(アジェンダ)」と呼ばれるものに従い、運命のレールから逃れるために運命を逆流させ(堕転)、黒い「ジン」や黒いルフなどを用いて、世界に暗黒を作り続ける事を目的とする。
[編集] 魔導士
- マルッキオ
- 「銀行屋」で、現在はバルバッドで財政の顧問を請け負っている。アル・サーメンの一員。霧の団の『武器商人』とは一心同体の存在である。黒縛霧刀に似た「闇の金属器」の一つを持っていた。シンドバットたちに倒され、金属器も消滅する。
- 武器商人
- 『霧の団』に武器を供給していた男。カシムに革命を起こすよう唆し、反乱民のための武器を用意する。「銀行屋」のもう一つの姿だったが、元に戻った後にシンドバッドによって倒される。
- イスナーン
- ターバンや仮面で顔を隠し、仮面のような形状の飾りがついた杖を持つ男。ドゥニヤを連れて第61迷宮に現れ、アラジンたちと交戦。雷魔法で、ドゥニヤ達をサポートする。
- 一時はアリババによって倒されたかと思われたが、白龍の体内に侵入しその左腕を食い破って復活する。その後、シンドバッドとアリババに「我らが父の意志」による「他人のルフを黒ルフによって犯す呪い」をかけて逃走しようとするも、シンドバッドに本体を消され、アリババの体内に残った呪いの核もアラジンの「ソロモンの知恵」によって消滅した。
[編集] 黒き王とその眷属
- ドゥニヤ・ムスタシム
- ムスタシム王国王女。23歳。「組織」の命令で「ザガン」を手に入れるため、商人と偽ってトランの村にやってくる。迷宮内にて闇の金属器を使ってアラジンと戦う。圧倒的な攻撃力でアラジンたちを追い詰め、極大魔法を放つもアラジンに躱されて敗北する。
- 幼いころに母を失ったため、イサアクの母に育てられる。イサアクを本当の兄のように思っていたが、10年前、マグノシュタット校の反乱で王族貴族、さらにイサアクを「運命」として平然と目の前で殺されたことで、自らの「運命」を恨み「堕転」してしまった。
- アラジンの「ソロモンの知恵」の力で呼び出されたイサアクのものだったルフを受け取り、ルフが白く戻り正気に戻る。
- 迷宮から生還後、シンドリアの王宮に捕らえられる。しかし、イサアクに会わせてくれたアラジン以外のシンドリアの人々には心を開いていない。
- 黒磁槍(アル・カウス)
- 闇の金属器。磁力を操り、岩や砂などの鉱物を自在に引き合わせ、反発させることができる。通常状態では、岩を操る程度だが、黒い「ジン」の状態では指や拳から磁力で集めた砂鉄を槍のように鋭くして攻撃する。その威力は、「マギ」の防壁魔法を打ち破るほど。さらに、全身魔装をすることによって「ジン」の状態の攻撃力のまま、砂鉄を槍に集め様々な形状の武器に自在に変化させることができる。
- 無限剣舞陣(レアバルド)
- 極大魔法。上空に作り出した八芒星の陣から、無数の剣を標的に向かって降り注がせる。発動までに時間がかかるのが難点。
- イサアク
- ドゥニヤの騎士。第61迷宮内でアリババと戦う。剣技そのものはアリババ以上である。
- アリババによって何度も切られそのたびに何事もなかったかのように立ち上がるが、それは彼がドゥニヤの魔法によって動く砂鉄の人形だったからである。(とは言うものの感情が存在するなど、「命令式」は複雑だったと思われる)イスナーンが倒された後もアラジンらに立ち向かったが、極大魔法の発動でドゥニヤの魔力が切れたため、砂鉄に戻ってしまった。
- 本物はムスタシム王国の近衛騎士。幼くして母親を亡くしたドゥニヤを守ることを誓っていたが、10年前に国のために仕えることを約束させられる。その後マグノシュタットの反乱時にドゥニヤを国境外へ逃そうとするも失敗、最期は寝返った近衛騎士団からドゥニヤをかばって23歳の若さで命を落とした。
- 「ソロモンの知恵」により「大いなるルフの流れ」から呼び出され、ドゥニヤの前に現れ彼女の幸せを願っていることを伝えた。
- 黒磁鎧甲(アルカウス・カウーザ)
- 闇の眷属器。鎧と地面を強力な磁力で反発させることで超人的な加速を生み出す。そのため、踏込の動作を省略することができる。
- ズルムッド
- ザガンの前でアラジンたちを待ち構えていた黒き王の一人。筋肉質で髭面の男だが、口調やしぐさは女性的。男女差別はしない主義と言うが女性(女の子)だけを嬲る。アラジンらを極大魔法で行動不能にし、立ち向かってきたモルジアナを執拗に嬲り殺そうとした。しかしそれが災いしてマスルールの怒りを買い、最期は眷属器を発動させた彼に敗れた。
- 千手回転(アルフ・アルヤッド)
- 闇の金属器。腰に巻いたベルトでそこから何本もの黒い腕をはやす。瞬時に蹴りをガードする等攻守に優れており、さらにそれを1本にまとめて振るうことも可能。
- 全身魔装は黒ずくめで光背を付けた様な姿。光背のような部分から六本指で掌に八芒星が光る腕を大量にはやし、その手の間に挟まれたものを瞬時に消滅させる。この能力を利用して竜巻を引き起こすことも可能。
- 神撫手旋回(アルヤッド)
- 極大魔法。上空に作り出した八芒星の陣から生じさせた腕を回転させ、竜巻で対象を薙ぎ払う。ビョルン曰く「大ざっぱ」。
- ビョルン
- ザガンの前でアラジンたちを待ち構えていた黒き王の一人。羽根つきの帽子をかぶり、左目に眼帯をした男。剣術を得意としている。言動は比較的丁寧だが、相手を斬り刻むことを想像して興奮する危ない性格をしている(シャルルカンからも気持ち悪いと言われている)。自分を上回る剣術の腕を持つシャルルカンに対し闇の金属器を発動して彼に傷を負わせたが、眷属器を発動させたシャルルカンに倒される。
- 名称は不明だが剣が闇の金属器となっており、自分の影から自らと同じ力を持つ分身を作り出すことができる。
- 万華影陣(ゼツルゼツル・ザラーム)
- 極大魔法。無数の分身を作り出し対象を全方位から攻撃する。描写を見る限りでは魔装なしでも使用可能。
- アポロニウス
- ザガンの前でアラジンたちを待ち構えていた黒き王の一人。車椅子に乗った老人。自分の能力を認めようとしない組織の魔導士たちを嫌っているため、魔導士を嬲り殺すことを楽しんでいる。ヤムライハと交戦するが、極大魔法を鏡の大魔法によって跳ね返されて倒れる。。
- 黒光球(アル・フラーシュ)
- 闇の金属器。数珠状の首飾りを空中に浮かべ、光魔法による光線で攻撃する。光線を一点に集中させると魔導士の防壁魔法も破ることができる。全身魔装では牙を持つ巨大な蟲の頭部に人が乗った姿となる。
- 黒光球 光蟲型(アル・フラーシュ ハバーヘブ)
- 金属器を集合させ、蛍のような形にする。腹部にある八芒星から魔導士の防御魔法では防ぎきれない威力の光線を発する。
- 焼夷光葬砲(フラーシュ・アルアラーフ)
- 極大魔法。蟲の口内にある八芒星から巨大な光線を発する。
[編集] その他
- ライラ
- 各地を回る商人。元々は盗賊で、砂漠で行き倒れになっていたところをサアサに助けられたことを切っ掛けに彼女と友達になり、それからは嘘をつかずに生きていく決心をするが、自身の過去については打ち明けられずにいた。その後、かつて盗賊であった事を知られ、誤解によって一度は隊商のメンバーから離れるが、誤解が解けた後に再び同じ隊商に復帰した。
- サアサ
- ライラが所属する隊商の娘。ライラの一番の友達。
- ブーデル[2]
- ブドウ酒造の大豪農。性格は非常に悪く、人命よりも自分の扱う商品である酒の安全を優先する。しかし、財力と権力にはどこまでも従順で、たとえ以前に蔑んでいた者であろうとも、相手が富と力を手に入れたなら躊躇なく態度を180度反転できる。
- ふくよかな体型のため、アラジンには「おっぱいおじさん」と呼ばれている。
- ファティマー
- 奴隷商人。女言葉のような口調で話すが、男性。盗賊団と結託して誘拐や人身売買を執り行う。過去にファナリス出身の奴隷を売買した経験があり、爪から大牛も即座に昏倒させる猛毒を発する砂漠カラスなど、砂漠や暗黒大陸産の猛獣を数種飼い慣らしている。
- 彼自身も元は奴隷で、旅の途中で主人を殺害し、以来、身分を隠して奴隷商人となった経緯を持つ。
- エリザベス
- アラジンとアリババが行った迷宮攻略前に店のNo.1実力派ホステス。手刀で瓶の口を切り落とす。さめ肌。出番がわずかながら、作者がファンレターにイラストとして描く頻度の高い人気キャラクター。
- ナージャ
- 採掘砦の盗賊団に捕まり、同じ部屋に閉じ込められたモルジアナと仲良くなった少女。バルバッドの内紛によって家族とともに国外へ脱出しようとしていたところを捕まってしまった。病気になって砂漠ハイエナの餌として処分されそうになったが、足枷を破壊したモルジアナによって助けられ、家族と再会することができた。
- ユナン
- 「さすらいのマギ」と呼ばれる『第1迷宮』を出現させた「マギ」。その後も誰につくこともなく、気の向くまま「迷宮」を生み出しては1人で世界をさまよっている謎の人物。
- シェヘラザード
- 200年間レーム帝国を支えている「レームのマギ」。「マギ」であるという確証はないが、レーム帝国に過去最大の繁栄と何人もの「迷宮攻略者」をもたらしているとみられている。
[編集] 登場用語
[編集] 9E">重要語
- ジン
- 『ジンの金属器』と呼ばれる道具に封印されている、神話に登場する精霊。「迷宮」のの支配者としてその奥深くに眠っており、持ち主である『迷宮攻略者』の呼び出しに応じ強大な力を与える。
- 実体の無い存在のため、身体の大きさは自由に変えられる。マギに指図することは許されていないため、アラジンに必要以上の事を教えることは出来ない。
- 彼らは、攻略者を見た瞬間に「ジン」を使役するのに必要な器である人間の魔力の内容量がわかる。また、彼らは「迷宮」内で死ぬことはないという。
- 地上の「王」が使う純粋な「力」として、ソロモン王によりルフから作り出された人工生命体(ゆえに、地上で実体化すべきではないとされる)。本来はルフに愛される魔法使いのみが作ることができるが、アル・サーメンは、黒ルフにより、黒い「ジン」を練成する技術を編み出した。
- モデルはソロモン72柱の悪魔。
- 金属器
- 迷宮攻略者が手に入れるジンが宿る道具で、他の魔法道具とは次元の異なる強力な力を持つ。別名「ソロモンの金属器」。金属器の所持者は「金属器使い」とも呼ばれる。所持者はジンの持つ強大な力を行使することが可能だが、人間の持つ魔力の総量では限りがあるため、通常は「魔装」と呼ばれる方法で扱う。仮にマギの莫大な魔力で使用した場合は、ジンそのものの顕現が可能である。
- 普段は所持者が身に着けることで、次第に魔力が蓄積されるが、それを使い切ると無力になってしまう。自然現象を取り込み、防ぐことのできない極大魔法攻撃を1つ発揮できる増幅装置の機能を持つ。
- 主と一体化して力を発揮するという特性上、「金属器」とする金属は主によく馴染んだものが好ましいとされる。
- 魔装
- 金属器に宿る「ジン」の力で体を薄く覆って自己と同化させることで、実体化した「ジン」に近い力を得ること。魔装した所持者の姿は、それがより強くなり全身に広がる程、「ジン」本来の姿に近くなる。
- 武器化魔装
- 「ジン」に最も近い、核となる金属器から肉体(主に武器を持つ手)にかけて魔装すること。全身の魔装に比べて容易。金属器は「ジン」本体が持つ武器そのものの姿になる。
- 眷属器
- 金属器から力を分け与えられた魔法道具。名の通り、主の金属器と共闘する内にジンに認められた者(眷属)がその能力を得る。眷属器の所持者は「眷属器使い」とも呼ばれる。金属器と同じく、蓄えられた魔力には限りがある。金属器とジンの恩恵による強力な力を持ち、一般にある魔法道具とは一線を画する魔力を持つ。金属器と同じく、使用者に馴染んだ金属が好ましい。
- 闇の金属器
- アル・サーメンによって作られた金属器。「ソロモンの金属器」と同様の全身魔装をすることができるほか、使用者が自分の体を貫くことで、自らを黒い「ジン」へと変えることもできる。その状態では、黒いルフの供給があれば無限に再生することができるが、黒ルフがないところでは理性を失っているが故に大威力の攻撃を繰り返して次第に弱体化していく。極大魔法の威力は「ソロモンの金属器」に劣る。内部にマグノシュッタト学園で魔法道具を精製する際に刻まれる「魔力痕」が刻まれている。また、使用者は使用後に生き残っていたとしても、後遺症によって次第に衰弱していく。
- 迷宮(ダンジョン)
- およそ14年ほど前[3]から世界各地に出現した古代王朝の遺跡群。内部には貴金属製品や宝石類など通常の財宝のほか、魔法道具などが共に眠っており、その頂点に立つのが「ジンの金属器」である。また、一度でも誰かが攻略すると消滅してしまう。マギの力で出現する。
- 一度入り口である「迷宮の聖門」をくぐると完全攻略するまでは外に出ることができない。攻略者の強さに応じて姿を変える。「迷宮」内部はルフの濃度が高いため、地上よりも少ない魔力で「ジン」たちが実体化することができる。
- 迷宮を攻略した人物の事を『迷宮攻略者』と呼ぶ。二箇所以上の迷宮を攻略したのは、世界でもシンドバッドと練紅炎の二人のみで、彼らは『複数迷宮攻略者』とされる。また、迷宮攻略者そのものがジンの主となるため、「王の器」の持ち主という事にもなる。
- シンドバッドは自身の経験から、力を得すぎた迷宮攻略者は「十分な力を得た」と判断される為に、迷宮に入る事が出来なくなるのではないかと推測していた。
- マギ
- 王となる者を選び、導く役目を持つ魔法使いのこと。『創世の魔法使い』とも呼ばれる。その具体的な意味や役割は不明だが、黄牙民族にはかつての大黄牙帝国の建国に関わったマギの神話が語り継がれている。
- 歴史の節目に現れ、それぞれの時代に3人しかいないもので、この物語の時代のマギはジュダル、ユナン、シェヘラザードだけだったが、歴史上初めて「4人目のマギ」であるアラジンが存在している。
- 魔法使いの階級の1つであり、その頂点に君臨する存在。そのため下記の魔導士であるヤムライハはマギであるアラジンとの初対面の際、かなり敬意を払っていた。
- 普通の人間は自分の中のルフが生む一定量のエネルギーしか使えないが、マギは自分以外のルフを使役し、その魔力を体力が続く限り、ほぼ無限に使うことが可能。また、迷宮を出現させ、そこに人間を導くことができる。堕転し逆流する運命を変える「奇跡」を起こすことが使命の一つである。
- ルフと同様、ジュダルのように堕転したものは、黒く染まっていく。
- ルフ
- 人の肉体が土に還るように、魂が還るところ。世界の魂を繋ぐ「世界の血潮」。またルフが生み出す世界の"流れ"、生命があるがままに生き、前に進み続ける事を示す"ルフの導き"が存在しており、それこそが「運命」と呼ばれる。
- 鳥の姿をしている。魔力(マゴイ)というエネルギーを生み出し、それによってあらゆる自然現象を引き起こす。堕転するとき、黒く染まる。
- 魔法
- ルフに命令式を与えることで、それが生み出す魔力によって熱・氷・雷・重力など様々な現象を引き起こす現象。どのような命令をルフに与えれば何が起こるかは、見えない真理として定まっており、それらを解き明かし組み合わせる。魔力の総量が多い者ほど、良く複雑で難解な式を組み続けられるので、より高度な魔法を解く事が出来る。
- 防壁魔法(ボルグ)
- 魔力で自分の周囲を覆う。外部からの悪意ある攻撃(ほとんどの物理攻撃とある程度の魔法攻撃)を防ぐ。強度に個人差はあるが、魔法使いなら誰でも生まれつき素質が備わっている。
- 聖宮
- アラジンがかくまわれていた場所。番人はウーゴ。アラジンは「頑丈な部屋」と呼んでいた。内部には様々な文献がある。ある時期が来るまでアラジンは絶対に外に出られない仕組みになっていた。外には「死者達の街(ネクロポリス)」が広がっている。
- ソロモンの知恵
- 運命の逆流を超える「奇跡」の力。「ルフの意志を聞かせる力」「預言の力」ともされる。他者のルフと語らい、さらに「大いなるルフの流れ」の源へアクセスしあらゆる人々のルフを呼び出すことができる。また銀行屋の言によれば「ジン」の錬成術などの知識も含まれているらしい。
- 聖宮の先にある「莫大な知識が集荷されている空間」において、アラジンが手に入れた。なお、その本質である『全知』を、アル・サーメンも手に入れようと画策している。
- 魔法使い
- 道具を使わず、自分の魔力を別のものに変換できる人間。生まれつきルフと語らうことができ、ルフに特別な伝令を送り、様々な自然現象を引き起こすことができる。幾つかの階級に分かれており、頂点に「マギ」、次いで「魔導士」、そしてその下に「占い師」や「まじない師」などが存在する。
- 肉体が「魔力」を魔法に使うことに特化しているため常人よりやや脆弱。それをカバーするため「防壁魔法」を使うことができる。攻撃力に関して「金属器使い」には及ばないものの、様々な魔法を使い分けることで「金属器使い」や「眷属器使い」のサポートを行う。
- 「ジン」が魔法使いのような存在であり、お互いの魔法が混線して危険であるため、「眷属器」の使用はできない。
- 魔導士
- 魔法使いの階級の一つ。自分の体内の魔力の量が多く、いろいろな魔法が使える。マギからは一段階下の階級となる。
- 魔力操作(マゴイそうさ)
- 自らの体内の魔力を操作し、相手の力を相殺する技術。特殊な修行が必要。自らの命を削るため、使いすぎると寿命が縮んでしまう。この力を使うことができるものはわずかしかおらず、作中で現在使うことができると判明しているのはシンドバッドと練白龍のみ。
- 気
- 魔力操作能力の一種。体内の魔力を操作し、その少量を武器に宿し強化する。
- 七海連合
- シンドバッドが作った7か国同盟。どの国も小国ながら強大な力を秘めている。「不侵略」を理念とする。連合に加盟しているのが分かっているのは、エリオハプト国、アルテミュラ国、イムチャック国。
- 堕転
- 「運命」に逆らい、進化を退化に、有を無にというようにすべてを陰なるものに逆流させること。その時、ルフやマギはその身を黒く染める。
- 逆流する運命を変えるためには、闇を打ち晴らす「奇跡」が必要であり、それを起こすのが「マギ」の使命でもある。
- 八人将
- シンドリア王国内で最強の8人の戦士。有事には先頭に立って戦う。シンドリアの守護神として国民の人気が高い。同盟国からの食客が多い。
- 謝肉宴(マハラガーン)
- シンドリアで行われる祭り。南海生物の撃退をパフォーマンス化することで、国民たちの恐怖心を和らげ、国外からの客人を楽しませている。
- シンドバッドの冒険書
- 作者はシンドバッド。アリババが迷宮攻略の際に参考にした。巻を追うごとに脚色がひどくなり、八人将の活躍を描いた「その22」ではジャーファルが7本の角をはやし火を吹き、マスルールは巨大化している。
[編集] 国家
- バルバッド
- 東南にある海洋国家。詳しくはバルバッドを参照。
- シンドリア王国
- シンドバッドが作った国家。詳しくはシンドリア王国を参照。
- 煌帝国
- 極東を制し、急に拡大している国家。詳しくは煌帝国を参照。
- 吾
- 煌と中原の覇権をあらそった国。
- 凱
- 煌と中原の覇権をあらそった国。
- レーム帝国
- 西の方にある大国。マスルールが幼少のころはここで剣闘士をしていた。
- 大黄河帝国
- 黄河一族の国家。近年はもはや国家とは呼べないほど衰退してきている。詳しくは黄牙一族を参照。
- パルテビア
- バルバッドと貿易をしていた大国。だが、近年衰退してきている。ドラコーンが軍人をしていた。
- エリオハプト国
- 七海連合の加盟国。シャルルカンの出身地。
- アルテミュラ国
- 七海連合の加盟国。ピスティの出身地。
- イムチャック国
- 七海連合の加盟国で極北の秘境にある国家。この国に住む人間は身丈が非常に大きく、子供でも他地域の成人男性に並ぶ身長を持つ。ヒナホホの出身地。
- ムスタシム王国
- 花と泉の楽園と呼ばれた西方の割合大きかった国。魔法の真理に迫るため国を挙げて努めてきた魔導国家だったが、マグノシュタット校の反乱により、10年ほど前に滅んだ。
[編集] 地名、民族
- 暗黒大陸
- 「レーム帝国南方属州以南は未開発」という意味で外部の人間によって付けられた、現地民が『カタルゴ』と呼ぶ地の蔑称。北端部はレーム帝国の属州として開けており、直行便で誰でも渡ることができる。
- ファナリス
- 暗黒大陸で伝説と語られる戦闘民族。赤髪と強靱な脚力を特徴とし、その脚力は獅子の胴を一撃で蹴り貫き、成人男性ともなれば、その身に幾重にも巻かれた鎖を引きちぎるほどの強大な力を発揮する者も存在する。
- しかし、その一方で体内の魔力の量は常人より少ない。
- トランの民
- 現在の世界共通言語と全く違う言語、「トラン語」を話す世界中に広く分布する少数民族(トラン語は会話では横書きで表現される)。なお、このトラン語は世界各地の太古の石版や、迷宮内部に記されている謎の言語である。遅れた部族として迫害され、南へ追いやられている。作中確認されているのはシンドリア近くの島にすむ部族で、シンドリアの駐屯地のおかげで安全な公開と商売ができるので市場が賑わっている。
[編集] A9">異生物
- 砂漠ヒヤシンス
- 作品中に登場する、砂漠・ユリ科の巨大な肉食植物。捕食部に酒を浴びることで酔い、活動が鈍くなる。
- スライム
- 第7の迷宮に棲む半流体状の怪物。普段はアリの姿をしているが、自分より強い相手がいる時は変形して相手の特徴をコピーする。また相手がさらに強敵であれば、複数の個体が寄り集まって巨大な集合体となり、戦う。人間の言葉をまねて話すことができる。
- 砂漠カラス
- 爪から、大牛をも眠らせる即効性の強毒を出す。ファティマ―に飼われている。
- 砂漠ハイエナ
- ファティマ―が飼育しており、病気などで弱った奴隷の処分に使われていた。
- マウレニアサーベルタイガー
- 暗黒大陸に生息する肉食動物。牙にかすっただけで人間なら一瞬で死ぬほどの猛毒を持つ。競売用にファティマ―が飼っていた。
- ナミディアコンドル
- 暗黒大陸に生息する肉食動物。爪にかすっただけで人間なら一瞬で死ぬほどの猛毒を持つ。競売用にファティマ―が飼っていた。
- エウメラ鯛
- バルバッド近海にしか生息しない珍魚。鯛なのに骨まで軟らかい。これのバター焼きは、モルジアナの好物。
- パパゴラス
- アリババの好物の鳥。珍味として好む者もいるが、岩をも砕くクチバシと自分より大きな相手にも挑むという攻撃的な性格のため捕獲は困難。群れで生息し、一番強い個体をボスとする習性を持ち、パパゴラス以外の強い動物の庇護下に入りつき従うこともあるため、現在のボスはマスルールとなっている[1]。
- 南海生物
- 南海に住む巨大な海洋中で凶暴な種類が多い。シンドリア国民が勝手につけた呼称であり、研究はあまり進んでいない。上陸できる形態のものもいる。アバレウツボ、アバレウミガメ、アバレオトシゴなどがいる。
- パパゴレッヤ
- シンドリア特産の果物。大陸の商人との間で高額で取引される。
- オラミー
- リスに似ている。人懐っこく市街地に出没し、食べ物をくすねる。母親の尾の中で守られて子どもが育つ。
- バオバロブ
- シンドリア近海全域に群生する植物。特徴はウネウネと伸びた幹。
- ゴーレム
- 第61迷宮に棲むザガンによって非常に硬い鉱物から作り出された岩の巨人。モルジアナの蹴りが通じないほどの強度を誇るが、互いにぶつかり合うと砕けてしまう。
[編集] 迷宮(ダンジョン)
[編集] 物語に関する迷宮
- 第1の迷宮『バアル』
- 14年前に出現した1つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち消失。総死者数約12000人。
- 第7の迷宮『アモン』
- チーシャンに存在した7つ目のダンジョン。10年以上攻略されていなかったが、アリババによって完全攻略されたのち消失。総死者数約10000人。
- 第61の迷宮『ザガン』
- シンドリア南西沖のトラン族の島に現れた61つ目のダンジョン。約2年前に出現した(推定)。近づくだけで村人は引きずり込まれていた。実はそれらの村人はザガンに似せて作られた魔法植物が魔法で木にし、魔力を吸い取って迷宮生物を生み出していた。『アモン』に比べ迷宮生物たちには人間味があるが、ザガンの声で凶暴化する。
[編集] その他の迷宮
- 第6の迷宮『ブァレフォール』
- 6つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち、消失。
- 第16の迷宮『ゼパル』
- 16つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち、消失。
- 第34の迷宮『フルフル』
- 34つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち、消失。
- 第41の迷宮『フォカロル』
- 41つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち、消失。
- 第42の迷宮『ヴェパール』
- 42つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち、消失。
- 第49の迷宮『クローセル』
- 49つ目のダンジョン。シンドバッドによって攻略されたのち、消失。
- ISBN 9784091220639 2009年12月18日発売
- ISBN 9784091220646 2009年12月18日発売
- ISBN 9784091221964 2010年03月18日発売
- ISBN 9784091223364 2010年06月18日発売
- ISBN 9784091225276 2010年08月18日発売
- ISBN 9784091226297 2010年10月18日発売
- ISBN 9784091227706 2011年01月18日発売
- ISBN 9784091228536 2011年04月18日発売
- ISBN 9784091231987 2011年07月15日発売
- ISBN 9784091233356 2011年10月18日発売
- ISBN 9784091235350 2012年01月18日発売
- ISBN 9784091236487 2012年04月18日発売
[編集] 関連項目
- ^ a b c d e f g 作者の手書きブログより
- ^ 単行本表記。雑誌掲載では『ブーゲル』。
- ^ 第2夜時点から
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