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遺伝子組み換えってなに?
まず遺伝子暗号を解析して、どんな働きをしているかを調べます。そうすると特定の遺伝子の働きを押さえたり、またはこれを切り取って、別の生物の遺伝子配列の中にいれこみ、新しい性質をもった生物を作り出す事ができます。このような技術の事を、遺伝子組み換えといいます。
遺伝子組み換え食品ってなに?
遺伝子組み換え技術によって作られた、まったく新しい食品の事です。
遺伝子組み換え食品には、どんなものがあるの?
大豆やとうもろこしやナタネ、ジャガイモやワタ(綿)が代表的です。日本で流通しているのは、基本的に海外から輸入されたものです。
遺伝子組み換え食品と普通の食品との違いは?
いろいろな性質の違いがありますが、一番多いのが、除草剤耐性です(全体の71%)。次が殺虫性です(28%)
除草剤耐性作物ってなに?
たとえば、モンサント社が開発した遺伝子組み換え作物に、ラウンドアップ耐性という性質のあるものがあります。これは、ラウンドアップという自社の農薬(除草剤)に抵抗力を持たせたものです。
殺虫性作物ってなに?
作物自体に殺虫能力をもたせたものです。その作物を害虫がかじると、死んでしまいます。
農家にとって、除草剤耐性作物のメリットってなに?
農家にとっては、使用する農薬(除草剤)の種類と回数を減らせるといわれます。その結果、人件費を減らせ、コストダウンが可能になるというわけです。
農家にとって、殺虫性作物のメリットってなに?
メーカーによれば、作物自体が虫を殺すので、殺虫剤等の使用を減らす事が出来るという触れこみです。その結果、人件費を減らせ、コストダウンが可能になるといわれています。
除草剤耐性にしろ、殺虫性にしろ、アメリカなどの広大な土地での農業でないと、農家にとってのメリットは出てきません。
組み換え体利用ってなに?
微生物に遺伝子操作して有用物質、例えば食品添加物などを作らせることです。
一例としてチーズを作るとき、「キモシン」という天然酵素が必要ですが、これは高価です。
ところが、遺伝子操作をしたバクテリアによって、本来子牛の胃の中にしか存在しない「キモシン」を作り出す事ができます。これを増殖させたものが、人工的で安価な「バイオキモシン」です。
これをチーズなどに使えば、安価に製造できるというわけです。
「組み換え体利用」の安全性は?
「組み換え体利用」の食品で、大規模な食品公害事件が起き、死者が出た事があります。俗にいう、「L-トリプトファン」事件です。
「L-トリプトファン」事件ってなに?
1988年から89年にかけておこった食品公害事件です。必須アミノ酸である「L-トリプトファン」を、サプリメントとして昭和電工が組み換え体利用で製造しました。
ところが、これを食べた人で、米国を中心に1543名もの健康被害者を出し、死者は38人にものぼりました。
これは白血球の一種の好酸球が異常に増加し、全身の筋肉痛に襲われるという、EMS(好酸球増加筋肉痛症候群)と呼ばれるものです。
「L-トリプトファン」事件の原因は?
昭和電工のトリプトファン製造過程において用いられた組み換え微生物が、予期せぬ2種類のたんぱく質を作り、それが不純物として製品に混入した事が原因と見られています。
このように、微生物が遺伝子組み換えによってどのような挙動を示すのか、100%わかっているわけではなく、思いがけない物質が出来てしまう可能性は、常にあるといっていいでしょう。
「実質的同等性」って誰が考えたの?
90年代に入ると、米国のバイオ企業からの圧力が強まり、さらに米国経済の向上を狙う米国の政策面によって、次々にゆるい規制が発表されました。
その中で、FDA(米国食品医薬品局)が打ち出したのが、「実質的同等性」の確認という、新しい安全性評価の考え方です。
具体的に「実質的同等性」とは?
遺伝子組み換えの作物と普通の作物を、見た目、主要成分、性質などで比較し、ほぼ同等とみなせれば、あとは遺伝子操作によって新しく作られる物質の安全性が確認されることにより、安全性がもとの作物と同等とする考え方です。
ちなみに日本の厚生省の安全性評価指針も、同じ内容です。
「実質的同等性」の問題点とは?
この考え方の問題点は、作物全体としての安全性が調べられていないという点です。
長期間食べつづけて大丈夫なのかどうかという動物実験、アレルギーの臨床テストなどは、まったく行なわれていないのです。
なぜ安全性を調べないのか?
企業にとって、まともに安全性を調査すれば、コストがかかるからです。それに比べ「実質的同等性」の論理であれば、開発企業のコスト負担は大幅に減らせます。
遺伝子組み換え食品というのは、もとより、組み換え作物開発企業の利益重視という、政治的な思惑により、普及してきたものなのです。
安全性は立証されたのか?
安全性は、充分に立証されたとは言えません。長期にわたる健康への影響や、赤ちゃんへの影響といった、必要最低限の評価すら不要とされる現在の指針では、消費者の健康と安全は守られません。
むろん、第3者機関による安全性のチェックすら、現在はありません。
「ラウンドアップ」ってなに?
多国籍バイテク企業、モンサント社が生産する、世界で一番の売上を誇る除草剤です。
これは、植物のアミノ酸生成を阻害し、植物ならみな枯らしてしまう非選択性の除草剤といわれる、とても強力なものです。
モンサント社が遺伝子組み換え作物を開発する理由は?
強力な除草剤「ラウンドアップ」耐性の作物を開発する事により、今まで「ラウンドアップ」が使えなかった大豆やナタネに使用出来るようになるからです。
おかげで、空中散布しても作物は枯れず、大幅な省力化が出来るようになりました。
この結果、除草剤の売り上げが大幅にアップし、大きな利益を得るようになりました。
代表的な開発企業は?
モンサント社(米国)、ヘキスト・シェーリング・アグレボ社(ドイツ)、ローヌ・ブーラン社(フランス)、ノバルティス(旧チバガイギー)社(スイス)といった企業です。
みな、国際的な農薬メーカーで、自社の除草剤と、その耐性作物の種子をセット販売しています。
農家は特許料を支払うって?
98年7月に聞いたアイオワ州の組み換え展示ほ場の農場主の話によると、普通の大豆が17,95ドル。
ラウンドアップ耐性の組み換え大豆は24.45ドル。
このうち種代は19.45ドルで、ライセンス料が5ドルということです。
このように、開発企業は組み換え作物において、種苗・農薬・使用権料・特許料で利益をあげる事ができるのです。
遺伝子組み換え食品の最大の輸入消費国は?
日本です。豆腐、しょうゆ、油、スナック菓子、大豆タンパク、コーンスターチなど、数多くの食品となっています。また、家畜の餌として、大量に使われています。安全性は調べられていません。
なぜ食べないほうがいいのでしょうか?
遺伝子組み換えジャガイモを食べさせたネズミの実験では、脳を含む臓器の重量が小さかったり、免疫力が低下したりという結果が出ています。
アレルギー性についても十分調べられておりません。このように、食品としての安全性が確認されていないからです。
食料危機を救う技術ではないのですか?
ちがいます。イメージはどうであれ、現実は、飢餓を救うような多収量とか、乾燥に強い品種などを開発しているのではなく、農薬企業が自社の農薬とセット売りで儲けようと、自社農薬の耐性作物を開発したものです。
消費者にとって安くなるとかのメリットはあるのですか?
食べる側には何のメリットもありません。混ぜて輸出されるので、価格が安いわけでもありません。
逆に、分別コストがかかるからと、非組み換え作物(今まで食べていた普通の作物)の価格が上がってしまいました。
栄養価が上がるなどの改良ですか?
栄養価が高いわけでも、美味しくなったわけでもありません。
逆に、『今までと実質的に同等』などといわれ、消費者にとって、潜在的なリスクだけを負わされる食品なのです。
世界各国の状況はどうなのですか?
詳しくは、●コラムの方にかいてあります。一般的にいって、ヨーロッパ諸国は、組み換え作物に対して厳しい対応を行なっています。
なぜヨーロッパはアメリカにNO!といえるのですか?
なぜアメリカなどの輸出国に対し、輸入側であるヨーロッパが強い態度に出られるのかといえば、ヨーロッパ諸国がほぼ自給できているからです。
自給力を背景にした自立的関係があるため、米国に対応できるのです。
なぜ日本は強く言えないのでしょうか?
上の質問と関連しますが、自給率が異様に低いからです。
ですからたとえば、大豆やトウモロコシなどの大量輸入国である日本の表示化は、なんと貿易障壁とみなされてしまいます。ヨーロッパの場合と、ずいぶんな違いです。
分別出荷は可能なのか?
今まで米国は、「不可能だ」といってきましたが、非組み換えの需要が高まり、価格にプレミアムがついてきたとたん、「コストはかかるが可能だ」という態度に変わりました。
絶対無理といいつづけてきた、大手穀物商社カーギルでさえ、分別サービスを手がけると発表しています。
厚生省は、安全性をどのように調べているのか?
厚生省の食品衛生調査会が、安全性評価指針に適合しているかどうか調べているのですが、なんとそれは企業が提出してきた資料を見るだけの審査です。
第3者機関による追試はなされていません。
環境や生態系に影響を与えるのか?
与えます。デンマークの国立リソ研究所で行なった実験では、除草剤耐性ナタネの近隣の雑草が交雑して除草剤耐性を獲得し、3代先まで伝えた事が確認されています(Nature,March7,1996)
こうして、雑草に農薬が効かなくなると、今度はもっと強力な除草剤の散布が必要になってしまいます。
他の生物に影響を与える事は無いか?
殺虫性作物が、目的とした害虫以外の生物に影響を与える危険性はあります。
一例として、殺虫性作物が、農業にとって大切な土壌微生物やミミズを減らすという報告がなされています。(オレゴン州立大学インガムら、1995)
組み換え作物が生物に影響を与えたという報告はあるのか?
いくつもあります。たとえばフランスの比較無脊椎神経生物学研究所の実験で、組み換えナタネの花の蜜を吸ったミツバチの寿命が半分になり、花のにおいを嗅ぎ分ける能力が半分になったという報告があります(New Scientist,Aug.16,1997)
ほかにも、殺虫作物を食べたアブラムシを捕食したてんとう虫の寿命が短くなったり(New Scientist,Jan.1,1997)、同様にしてクサカゲロウが死んだりと、益虫にも影響する事がわかっています。(New Scientist,June 13,1998)
生物特許とは?
現在、先住民が昔から薬用としてきた生物種の情報を、先進国の企業が聞き出し、採集し、遺伝子解析を行なう事が進められています。
自然にある動植物の有益な遺伝子を発見すると、遺伝子組み換えにより、有用な作物や薬などが開発できるからです。
従来、生命は特許の対象ではなかったのですが、米国が生物特許を認め、その他の先進国でも認める方向に向かっています。
生物特許のもつ問題とは?
そういった生物種のホットスポットはみな南にあり、そこでは先住民が有用なものを守り育ててきました。
ところが先進国の研究者が遺伝子解析によって有用遺伝子を発見すると、それに特許をかけて、開発者の利益のために私物化してしまいます。
その種苗を長い間守り育ててきた人々の権利はまったく省みられません。
生物特許は、遺伝子を略奪する行為として、今、途上国の人達から非難が高まっています。
今までの品種改良との違いは?
今までは、品種改良といっても、交配を繰り返すという方法で行なってきました。これとは違って、遺伝子組み換え作物では、遺伝子を直接入れかえるという方法で、まったく新しい品種を作り出していきます。
長い時間をかけて交配して行くのと比べて、まったく違う種(例えば昆虫や哺乳類でも)の遺伝子を取りいれる事が可能になる点が、最大の違いです。
遺伝子組み換え作物の作り方を教えて
これは長くなるので、まず、代表的な3つの方法をここに上げておきます。1つは『アグロバクテリウム法』、2つ目は『パーティクルガン法』、3つ目は『エレクトロ・ポレーション法』といいます。
「アグロバクテリウム法」ってなに?
最も最初に行なわれた方法です。
「アグロバクテリウム」というのは、土壌細菌の事です。普通、この細菌は植物に寄生して、その根にコブをつくって、それを養分として増殖します。
つまり、この微生物は、"コブを作る遺伝子"を持っていて、それを相手の植物の遺伝子に送りこむ性質をもっています。
で、"コブを作る遺伝子"の代わりに、"有用遺伝子"を組み込んで、再びこの細菌に戻せば、この細菌自らが有用遺伝子を相手の植物に送りこんでくれるのです。
「パーティクルガン法」ってなに?
「アグロバクテリウム法」は、穀物など、堅い細胞壁の植物ではうまくいきません。そこでアメリカで開発された方法がこれです。
まず、"有用遺伝子"を、金の微粒子に張りつけて筒の中にいれます。そして、下に置いた植物の細胞に向けて、高圧ガスなどで、(空気銃の様に)打ちこむのです。
「エレクトロ・ポレーション法」ってなに?
日本で行なわれている方法で、これも穀物に適用します。
細胞壁を取り払った(プロトプラストの状態という)、むき出しの核と、導入したい遺伝子を一緒に溶液に入れ、それに電圧をかけます。
すると、むき出しの細胞の表面に一時的に穴があいたような状態になり、遺伝子が入っていけるというわけです。
上の3つの方法のそれぞれの弱点って?
「アグロバクテリウム法」は、細胞壁の堅い植物(穀物など)ではうまくいきません。
「エレクトロ・ポレーション法」は、穀物でもいけますが、むき出し(=プロトプラスト)の状態にするため、ササニシキやコシヒカリなど、品種改良を積み重ねたため、生物学的に弱くなったものには適用できません。
「パーティクルガン法」は、ほとんどの植物に適用できますが、物理的に打ちこむという特性から、遺伝子が働く確率が極めて低いという弱点があげられます。
日本で遺伝子組み換え食品を栽培している農家はあるのですか?
一部の農家が、試験的に組み換え大豆を栽培しています。しかし、商業生産と云う形では、まだ行なわれていません。
栽培農家がどこにあるか教えて下さい
1つ上に書いたとおり、組み換え大豆の試験栽培がいくつかの農家で行なわれていますが、それは、北海道や岩手県などの一部の農家で行なわれているといいます。
なお、モンサント社は、現在、国内大豆の大規模栽培農家に対し、自社の組み換え大豆(及び農薬)を強く売りこんでいます。
組み換え食品と農薬は、どちらのほうが危険なのですか?
農薬は、比較的毒性がはっきりしたものが多いのに対して、組み換え食品は、毒性(特に慢性毒性)が調べられていないという、未知の部分があります。
このようにリスクの種類が違うため、簡単には比較できないと思います。
なお、長く使ってきた農薬といえど、最近になって環境ホルモン作用が発見されるものが出てきたりなど、新たなリスクが出現してきたものもあります。
家畜の餌として使われた場合、その家畜を食べる人間には害はないのですか?
家畜の餌の自給率は0%ですから、日本の家畜の餌の内の相当量が遺伝子組み換えです。
そういった餌を食べた家畜の肉や卵を人が食べた場合、いったいどうなるのかは、現在のところ調べられていません。
しかし、参考になる実験はほんの少しですが存在します。(次の質問で説明します)
組み換えられたDNAは、消化液で消化されるって聞いたけど?
ところが、ドイツで行なわれたネズミによる実験では、こんな結果が出ています。
まず大腸菌(M13細菌)のDNAをネズミに食べさせた後、調べてみると、消化液で消化されるはずのDNAが、消化されずに腸壁から体内へ吸収されてしまったのがわかりました。
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